タケノコ令嬢は今日もタケノコ掘りで忙しい
 これでタケノコの美味さが広まるのは間違いなしだ。しかも季節もので食べられる時期は一年の中でも数か月と短い。話題性も抜群。

「では、ロッサナ。善は急げだ。タケノコを持って、俺と王都へ行って欲しい」
 エドアルドが言うと。
「それはできません」
 ロッサナはきっぱりと断った。「私にはまだ、この地のタケノコを掘るという使命が残っております。また、これからみなさんにタケノコの掘り方を教えねばなりません。タケノコは一日で三十センチ以上も伸びるのです。三日も私が留守にしていたら、タケノコは竹になってしまいます」
 というのは少々オーバーではあるが、タケノコの成長スピードは速い。大きくなりすぎると、硬くて食べられない。

「王都にはエドアルドさん、お一人で行ってください。でも、タケノコのあく抜き方法や調理の仕方についてはメモをお渡ししますから」
 しぶしぶと納得したエドアルドは、一人で王都へと行くことになった。
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