ABYSS〜First Love〜
ユキナリ

sideB-6

リオは時々子供みたいになる。

仕事上の付き合いもプライベートもごっちゃで
ワガママを言ってくる。

アキラさんには色々気を遣って大人みたいにしっかり支えてるクセに
オレには甘えてばかりだった。

この辺りで厳しくしないとアイツのペースに飲み込まれる。

だからリオを追わなかった。

オレは自分の部屋に戻ってリオの部屋にも行かなかった。

案の定アイツは簡単に折れてオレの部屋にやって来た。

「何で追いかけて来ないんだよ!」

壁が薄いから夜中の喧嘩は困る。

オレはリオを外に連れ出した。

「ガキかよ?もうちょっと節制しろよ!」

オレが怒るとリオはキスしてきてオレの欲望を掻き立てる。

オレがその気になるとアイツはオレから離れた。

「節制すれば良いんだろ?」

オレはアイツに弄ばれてる。

でも後から思えばこんな場所でリオと簡単にキスなんかするんじゃなかった。

オレはリオの部屋まで着いてって
部屋に着くなりアイツを押し倒してやった。

「お前、ふざけんなよ。

今度あんな事したら許さないからな。」

リオはオレに怒られても幸せそうな顔をしてた。

怒る気が失せてその代わりにリオが欲しくなった。

リオが嫌だって言うほどオレは気持ちが昂った。

この嫌は嫌じゃないってわかってるから。

「絶対浮気すんなよ!」

リオはそう言って怒ったけど
浮気するのは多分オレじゃなくてお前だとオレはずっと心配だった。

そしてもし浮気するならその相手は間違いなくアキラさんだ。

お前はわかってないよ。
オレがどんだけお前のこと好きなのか…

アキラさんが上京してからオレはずっと落ち着かなかった。

あの人はどう考えても情緒不安定だった。

オウスケさんとアキラさんが再び上手く行くことを願ってたけど
あの二人の仲がそんなに簡単じゃないこともわかってた。

仕事上がりにリオの家に寄ると
そこにはしょっちゅうアキラさんがいた。

アキラさんはたいてい酔ってて
リオに甘えてた。

多分それを見たオレはすごく嫌な顔をしてたんだと思う。

「ユキナリ、妬いてんのか?」

酒に酔ったアキラさんはそんな風にオレに絡んでくる。

「てゆーか大丈夫なんですか?
毎日そんな酔っ払って。

個展の方はどうなんですか?」

そしてリオに触れるアキラさんの手を解いて
リオをアキラさんの反対側に座らせた。

「お前、やっぱり妬いてんだな。」

そう言ってアキラさんはふざけてオレにキスしようとした。

アキラさんは酒が入ると誰彼キスしたくなる癖がある。

オレはそれを避けてアキラさんはひっくり返った。

リオがそんなオレを睨んでアキラさんを介抱する。

「ユキナリ、酔ってるだけだから冷たくするなよ。
アキラさんが辛いことくらいわかるだろ?」

「じゃあお前はアキラさんがオレとキスしても良かったのかよ?」

「そんなこと言ってないだろ?
もうちょっと優しく断れば良いだろって話だよ!」

「お前、アキラさんに頼まれたら寝るんじゃねぇの?」

オレの言った一言はリオを傷つけたみたいだが
言ったオレのがもっと傷ついた。

こんなこと口にするなんてどうかしてた。

「信用出来ないならもういいよ。」

「もういいって何だよ?」

「もう帰れば?」

オレはリオをアキラさんと二人きりにはしたくない。

オレはもうこの感情を止められなくてリオを傷つける言葉しか出てこなかった。

「帰らねぇよ!オレが帰ったら寝るんだろ?」

リオはそんなオレに呆れていた。

「オレを何だと思ってんだよ!?」

しくじったのはわかったけど
どうしても嫌だった。

リオが今までにないくらいすごく怒って
オレは焦った。

「リオ、待てって。悪かったよ。」

オレはアキラさんの前でリオとキスした。

リオは嫌がったけどオレはそれを許さなかった。

アキラさんがどんな顔をして見てたのかなんて関係なかった。

ただ夢中でリオにキスした。

リオはオレのリオだから。

適度な嫉妬は許されるが過度な嫉妬は相手にとって負担なだけだ。

オレは執拗にリオを疑って
リオはそんなオレに嫌気がさしたのかもしれない。

それからアイツからの電話の回数は減り
誘うのはいつもオレからで
アイツは店にも顔を出さなかった。

そしてある日、突然リオと連絡がつかなくなった。












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