手を伸ばした先にいるのは誰ですか
Midori in Hokkaido





私は8月、再び北海道のNinagawa Queen's Hotelへ来ていた。しかも新旧どちらのホテルへも訪問することになっている。

まず旧ホテルの方へ、新千歳空港から5月と同じドライバーさんが運転して下さっている。

「明後日に移動と伺っております。お時間は24時間いつでも結構ですのでご連絡ください」
「24時間?普通に明後日の10時ごろ出発します。予定が変わればご連絡します」
「かしこまりました」

朝からいつもの執務室で2時間仕事をしたあと、朱鷺が空港まで送ってくれたのでもう夕方だ。平日だが夏休み期間なので空いてる部屋でお願いしますと、今回は自分で連絡を入れており、スタンダードツインの部屋へ案内してもらうと、朱鷺の名前でカードが添えられたwelcome flowerが鏡の前に置かれていた。

白いピンポンマムとブルースターとグリーンの爽やかなアレンジメントを手に取り360度ゆっくりと見たあと、写真を撮って朱鷺に送る。するとすぐに電話が鳴った。

「朱鷺、ありがとう」
‘無事到着の連絡がもらえるという目論見通りだ’
「ふふっ…この花の目的はwelcomeじゃないんだぁ」
‘それを見る度に俺を想うだろ?’
「見なくても想うけど?」
‘美鳥、最高’
「ありがとう」
‘自分の打ち出したものが形になったのを、しっかりと見てこいよ’

そうなんだ。ここの8月企画は、新ホテルで7月にオークワイナリーとやった料理とワインのペアリングを、私が5月に訪ねたワイナリーとやっているのだ。

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