手を伸ばした先にいるのは誰ですか
04





遠藤から連絡があったのは日都銀行のパーティー1週間前だった。

「有給消化している最中だろ?休み中に連絡してくるほど何かあったか?」

俺の言葉に西田が反応している。美鳥は今、隣の部屋で川崎さんと二度目の企画ミーティング中だ。

‘私に任されました佐井友理奈ですが’
「ああ」
‘日都銀行のパーティーに来ると予想できるので私が朱鷺様とご一緒しても構いませんか?’
「後日銀行の担当者に紹介するつもりだったから当日来てくれるのは構わない。それなら西田は帰す。だが、どうしてそんな予想をした?」
‘あくまでも予想ですが…’

と前置きしてから遠藤が言ったのは、こうだ。日都銀行令嬢はこの本店でなく遠藤が支配人をしていたホテルの常連だ。それは頭取からも聞いていて知っている。各レストランやカフェ、バー利用で来館するのはもちろん、宴会場ではなくグレードの高い部屋を予約して友人たちと茶会や飲み会をすることがある。そこに佐井友理奈が何度か来ていたらしい。

‘部屋のパーティーに参加しているのを従業員が複数回見ていますので親しい友人だと推察して予想した次第です’
「あるな」
‘私、もう明後日からそちらで勤務します’
「休日返上でいいのか?」
‘まだ西田さんもいらっしゃるので適当な時に休みますよ。でもこう予想したからには休むのは今ではないと思うので日都銀行関係の勉強をします’
「わかった、頼む。屋敷の部屋の準備が明後日にできるように急かしておく」
‘それは予定通りの日でもいいですよ。屋敷の者もそれぞれ忙しいでしょうから。では、明後日’
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