手を伸ばした先にいるのは誰ですか





年齢を聞くことを、意味のあるやり取りに思えないという美鳥。欧米では芸能人の年齢は一般的に非公表だし、特に話題にはしないのが普通だから日本とは異なる文化を持つ。それが彼女にとっての普通なのだろう。

「俺とももっと話したいと思ってもらえると嬉しいけど?」
‘そうですね、思いますよ。私の知らないことをたくさん知っていて、話すのも聞くのもお上手そうなので。お食事、楽しみにしています’

含みのないはっきりとした言葉…

「美鳥の中にはまっくろくろすけはいないようだね」
‘あははっ、いえいえ…最近日本人的なことを学び続けているのでおりますとも。ちゃんと本音と建前を学習中です’
「そんな学習いらないんじゃない?」
‘学習しておかないと人から言われたことをちゃんと理解出来ないので。使いこなす技はまだまだ未熟です’
「その技、俺には封印しておいて」
‘もう繰り出したかもしれませんよ?’
「どこでだろ…?」
‘冗談です、ふふっ’
「愛くるしいチャーミングさだね」
‘愛くるしいって子どもに使う言葉じゃないの?’
「愛嬌があって可愛らしいってことで、大人でもいいと思うよ」
‘なるほど…愛くるしい…はじめて言われました、ありがとう’

ずっと話していられるな…結局2時間近く話をしてから通話を終えた。

ただそのあと出張が入ったりしたため、次に会えたのは1ヶ月後だった。
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