寵愛のいる旦那との結婚がようやく終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい
七十八
「リーヤ、今あった、レン、ギギ、ルフはオレの大切な仲間で、友達だ。何かあったら彼らを頼るといい。あと亜人隊とリキ、ミカ、ワカ、ミリアもな」

「はい、ナサの友達を紹介してくれてありがとう。舞踏会が終わったら、わたしの両親をナサに紹介します」

 ナサはおっと、瞳を開き。

「シッシシ、わかった。リーヤの両親か緊張するな」

 と、嬉しそうに笑った。



 舞踏会まであと五日となった。
 相変わらず亜人隊は深夜に襲ってくるモンスターと戦っていた。疲れてきたナサ達を守りにと言ったら、大袈裟になるけど、わたしも何度か彼らに参戦した。

「ナサ、両親から手紙が来たわ」
「おお、それでなんて書いてあった?」

 聞いてきたナサに『リイーヤが好きで、お相手の方もあなたを好きならいいわ』と、両親はわたしの幸せが私達の喜び、舞踏会で会いましょうと書いてあった。と伝えた。

「これで、リーヤと結婚できるな。前に書いた婚姻の書類を騎士団にだして来るよ。それで、舞踏会と国王祭のあとになるけど、ミリア亭を貸し切って式をあげよう……リーヤ、ちゃんとした式をあげれなくて悪いな」
  
 わたしは首を振り。

「いいえ、ナサと結婚できるのだもの。幸せです」

 ナサの顔が近付き優しく唇にふれた。そして、もう一度、深くわたしの唇を奪った。……離れた唇、開いた瞳から見えたナサはいつもの笑顔と、頬は真っ赤で、

「あー、そのなリーヤ。こんな図体しているが、オレはキスが初めてで慣れていない、下手だと思うが……気持ちはかなりはいってる」

「!」

(もしかして、ナサが、そ、そんなことを言うのはわたしが前に結婚していてから?)


 ナサは前の旦那とはキスはしていると思ったの。
 もし、キスしていても、わたしは比べたりしない。

「ナサ、失礼よ」

「あ、すまん。だってよ、リーヤに下手だと思われたら……オレ、立ち直れん」

 目の前でシュンと耳がねて、大きな体を縮めるナサ。
 そんな、彼が可愛くみえた。

「ナ、ナサが下手かなんて、初めてだったからわからない!」

「初めて、マジか! リーヤもキス、初めてだったのか!」

 嬉しそうに笑うナサ。

「そうか、リーヤも初めてかぁ!」
「ちょっと、ナサ!」

 真っ赤になってナサの胸を叩くと、シッシシと笑って。

「わ、悪りぃ、嬉しくって……初めか、なあ、リーヤ、もう一回してもいい?」

「え、いい……ンンッ」

 言い終わる前にチュッ、チュッと、ナサにキスされた。


「シッシシ」

いっぱいキスをした帰り道。
隣で嬉しそうに微笑む、ナサは可愛かった。
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