〈side Natsuki〉

 その週の金曜日の夕方。

「今日は早目に切り上げて『魚元(うおげん)』に寄って帰らないか。懇親会、ってことで」と室長。

『魚元』というのは、このビルの地下にある居酒屋。珍しい日本酒が取り揃えてあって、お刺身が美味しいと評判の人気店だった。

「すみません、先約があるので今日はパスで」
 そう言ったのは橋本さん。
 わたしと多田さんと島内さんは参加することになった。



「自社ブランドを立ち上げる今回のプロジェクトは、うちの会社としては前例のないものだからな。君たちが十二分に力を発揮してくれることを期待してるよ」

「その分、やりがい半端ないですよ。絶対成功させましょう、俺たちの手で」と熱く語っているのは島内さん。

「なんかあのふたり、ノリが体育会系だよな」
「そうですね」