甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》






「それは仕方のないことなんじゃないかな?誰がいい、悪いもなく、真麻ちゃんの日常というか標準?」

もう少し説明が欲しいと思い、サンドイッチを新たに手に取りながら紫乃ちゃんを見る。

「すっごいお金持ちに生まれたお嬢様がお金の心配をせずにのんびり爪を磨いていても普通のことでしょ?それに似たような状態かなぁと思うけど甘えとは思わないよ。真麻ちゃんがおこづかいをお願いしたわけではないでしょ?」
「それはない。時間があるから頼まれたことをやるだけ」
「でしょ?まだ就活はまこちゃんたちに言ってないの?」
「言ってない」
「ほら、真麻ちゃんは甘えてなんかないよ」
「…ありがとう…就職しなきゃって強く思うばかりだったけど、どうせ周りと離れるわけではないから…とりあえず派遣登録してみようかな…」
「賛成」

紫乃ちゃんと話をして少し気が楽になる。

「結婚式の準備は?」
「夢唯さんとドレスの準備があるだけで、他の準備があれこれあるような披露宴じゃないの」
「ドレス、すごく楽しみにしてる」

クリスマスイブに結婚式をする紫乃ちゃんのドレスについては全く聞かないようにしている。もちろん夢唯さんからも。
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