甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》
「壱…」
「いい、そのままでいい。大丈夫だ、紫乃」
俺に背中を向けていることを気にして雪乃へ向いた体を仰向けに変えようとした紫乃をそっと後ろから抱きしめる。
「これでいいだろ?一緒に寝る」
「ありがと」
紫乃の首筋に顔を埋め、Tシャツの襟に覆われていない肩から首をチロッと舐める。
「壱」
「うん?」
「お義父さんのプレゼント買いに行きたいんだけど…何がいいと思う?」
6月生まれ父さんに父の日と誕生日のプレゼントを合わせて準備すると少し前から紫乃が言っている。
「ここで一緒に食事すればいいだろ」
小声でボソボソ話す俺たちの声が子守唄とは贅沢だな、雪乃。
「日常的過ぎない?」
「それで十分だと思うが…紫乃が他にも買い物するものがあるなら…紫乃のものを買うなら平日のすいてる時に百貨店へ行こう。雪乃はベビーカーで大丈夫だ。久しぶりに紫乃のものを俺が買いたい」