雨上がりの景色を夢見て
「へー…仲良いじゃないの、2人とも」

私と高梨先生のやりとりを見ていた夏奈さんが、頬杖をついてニコニコしながら呟いた。

「俺は、仲はもともと良いと思ってるけど…？」

えっ？

夏奈さんに答えた高梨先生の言葉に少し驚いた。

確かに生徒の話題を通して、よく話はしていたけれど、それを仲が良いとはっきりと言い切る高梨先生の姿勢が意外だった。

「…そういうことね」

ぼそっと、夏奈さんがそう呟いたのが聞こえたけれど、一体どう言うことなのかよく理解できず、聞こえなかったことにした。









「雛ちゃん、素敵なところに住んでいるのね」

家まで送ってくれた夏奈さんは、マンションを見上げた。

「一人暮らしなので、セキュリティがしっかりしてるところにしたんです」

最初は、どこでも良いかなと思っていたけれど、仁さんが、『女性に一人暮らしは危ないから』と、セキュリティの充実した物件を集めてきて、その中から自分の給料に見合った所を選んだ。

「今日はありがとうございました」

「また、お茶しましょうね！」

「はい」

「中川先生、ではまた月曜日に学校で」

「はい、月曜日に」

私は2人の乗った車が見えなくなるまで見送って、自分の家に入った。



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