夢見るだけじゃ終われない 〜恋と令嬢とカクテルと〜

 終わってからはシーツの中で足を絡めて向かい合う。

 こうしていると、まるで恋人同士みたいだ。

「再来週の11月10日は俺の誕生日なんだ。一緒に祝ってくれないかな」
「再来週……」

 帰国した翌週にはパーティーで犬飼さんと会う。

 そこで私が犬飼さんに嫌われるよう振る舞えば……
 
 ――ううん、そんなの駄目だ。

 父の会社が潰れるだけじゃない、もしかしたら今度こそ姉の紫が結婚させられてしまうかもしれない。

「ごめんなさい、私、一緒に祝ってあげられない」
「それじゃあ、今度会ったときに『おめでとう』って言って。プレゼントは茉莉のキスかな」

 今度なんて私たちにはありはしないのに……
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