「他に好きな人が出来たから、もう別れて欲しい」
え……。突然彼氏に言われたその言葉たち。私の頭は思考停止して、今は何も考えることが出来ない。
「ど、どうして?」
「どうしてって…、もうお前のこと好きじゃなくなったからだよ」
その言葉に、またも思考が停止する。お前って、初めて言われた。いつも優しく私の名前を読んでくれていた彼はもう、そこにはいなかった。
「私にどこか嫌なところでもあった?もしそうだったとしたら直すから、だから…」
「そんなんじゃねぇよ。もうお前のこと嫌いなの。だから別れて」
思わず、俯いていた顔を上げた。そこにはひどく冷たい顔をした私の彼氏だった人がいた。泣きそうだった。でも泣いたら、私が負けたみたいで。
「う、ん」
そう頷いていた。
大好きだった人。かっこよくて、優しかった自慢の彼氏。でももう、終わりなんだ。こんな感じで恋というものは終わるのか、となんだか泣きたい気持ちになったが我慢した。
そうしないと私は"かわいそうな"女の子になってしまう。それだけは嫌だった。
その日は雨が降っていた。その空模様は私の今の心を表してくれているようだった。