総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。
「他に好きな人が出来たから、もう別れて欲しい」
「え、……?」
十一月三十日。冬。まだ中学三年生の私は、大好きだった彼氏にとうとう別れを告げられてしまった。
予兆はあった。
最近の彼氏は、何だかすごく難しい顔をして、すごく悲しそうにしていることが多かったから。それを聞こうとしなかったのは、私だ。全部、私のせい……。
「桜十葉、聞いてる?別れてって言ってんの」
彼氏に言われたその言葉たち。そう言う彼氏の顔が、今にも沈みそうな夕陽の眩い光に照らされていた。
私の頭は思考停止して、今は何も考えることが出来ない。
「ど、どうして?」
「どうしてって…、もうお前のこと好きじゃなくなったからだよ」
その言葉に、またも思考が停止する。お前って、初めて言われた。いつも優しく私の名前を読んでくれていた彼はもう、そこにはいなかった。
「私にどこか嫌なところでもあった?もしそうだったとしたら直すから、だから…」
「そんなんじゃねぇよ。もうお前のこと嫌いなの。だから別れて」
思わず、俯いていた顔を上げた。そこにはひどく冷たい顔をした私の彼氏だった人がいた。泣きそうだった。
でも泣いたら、私が負けたみたいで。
「う、ん」
そう頷いていた。
大好きだった人。かっこよくて、優しかった自慢の彼氏。でももう、終わりなんだ。