総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。


そう真剣な顔をしてそう答える裕翔くんを見つめていると頬が赤くなっていく。

だって、それって……なんだかプロポーズされたみたいだから……。


「それなら良かったよ!桜十葉、これからはこれを機に裕翔くんと生活しなさい。親離れする為にもね」


え、ちょっとお父さん、軽すぎじゃない……っ!?

しかも、お、親離れだなんて……。

私、そんなにマザコンでもファザコンでもないのに……。

でもお父さんが考えていることはそんな事じゃないとニヤけている顔から思う。


「はい、俺が桜十葉さんをお守りします」


裕翔くんのその言葉にキュンとする。さっきまでの事なんて忘れて今は嬉しさが心の中を支配していた。


「じゃあ桜十葉。お父さんたちは今日の夕方の便で海外旅行に行ってくるから荷物をまとめて、裕翔くんと一緒に暮らしてね」


え、ちょっと待ってよ……お父さん!

さっき、お母さんの体が大丈夫な時に旅行に行くって言ってたよね!?

今すぐに裕翔くんと同居するだなんて、聞いてないよ……っ!


「じゃあ裕翔くん、桜十葉のことよろしくね。くれぐれも、桜十葉が成人するまでは健全な生活をしてね」


最後の言葉を言う時、お父さんの後ろに何だか黒いものが見えた。


「はい。承知しました」


いや、承知してないでしょ……っ!裕翔くんが、もうすでに私のことを偵察済みだと言うことを、お父さんは知らない。


「じゃあ、お父さんは楓と一緒に二人きりのラブラブ旅行に行ってくるよ」


お父さんはそう言って、ひらひらと手を振りながらリビングを出ていった。

なんて、……なんて薄情な…。

普通、1人の大事な娘を大人の男の人と一緒に暮らさせたりする!?

でも、裕翔くんと一緒に暮らせることはとても嬉しい。

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