総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。


どこから出ているのか分からないと思うほどの甘い声が私の口から漏れる。さっきまでは私が裕翔くんのお腹の上に乗っているという体勢だったのに、立場は逆転。

濡れた唇を手の甲で拭った裕翔くんはニヤリと怪しい笑みを浮かべる。


「ほんとはもっとしたいけどそしたら学校行けなくなるから、続きは夜、ね?学校頑張ったら気持ちいーこといっぱいしよ?」


平気でそんな事を言う裕翔くんだけど、実は恥ずかしがり屋さんなんだってこと、気づいてるよ?

裕翔くん、恥ずかしくなったら耳が真っ赤になってるから気づいちゃったんだ。その事に、本人は気付いていないこともちょっと可愛いく思ってしまう。


「……っ」


今日で裕翔くんと学校に行くのも三ヶ月間はお休み。だから今日はいつも以上に学校を楽しむんだ!

私達は夏の暑い日差しの中、手を繋いで学校へと向かう。


「あ、そういえばさ。夏休み、花火大会あるでしょ?あれ、一緒に行こうね」


そう言って優しく笑う裕翔くんを見て、私の胸がまたキュンとときめいてしまう。


「うんっ!」


私は裕翔くんと校門でお別れをして、学校へと向かう。お嬢様やお坊ちゃま達は、普通の高校生たちと変わらないぐらいに夏休みを楽しみにしているようだった。

< 48 / 329 >

この作品をシェア

pagetop