*夜桜の約束* ―春―
【Part.1:春】夜桜の約束 ―プロジェクト“S”を暴け!―
[1]桜と桃 〈M〉
★この度はお手に取ってくださり、誠にありがとうございます♡(^人^)♡
【プロローグ】
「あっ……こ、怖かった……」
テントを駆け抜けて、いつの間にか敷地の境界まで一気に走っていた。
胸に抱えた銃を思い出して慌てて手を放し、草の上に鈍い音が響く。
一昨日のようにフェンスにもたれて、桜見物の人の山をぼおっと眺めた。
先程あんなことが遭っただなんて、嘘のように思えてしまう麗らかな情景が広がっていた。
しばらくして少女は一つ小さく息を吐いた。
あたかも「落ち着きを取り戻さねば」と、自分に言い聞かせるように。
それからテントに戻ろうと、銃を拾うため腰を屈める。
「お嬢さん、すみませんが化粧室はどちらになりますか?」
「え? あ、はい、それなら……」
突然頭の上から中年男性の声が聞こえてきて、少女は少し先の黒い革靴に目を留めた。
説明しようと背を伸ばしたその時──
「うっ……」
首の後ろに衝撃が走り、目の前に星のような小さな光がチラチラと舞い散った。
──何? これ……──
「すまないね……少しだけお付き合いいただきますよ、『明日葉』」
頭上の声は次第に遠のいてゆく。
気を失う寸前彼女が感じたのは、草の青い匂いだった──。
☆ ☆ ☆
【プロローグ】
「あっ……こ、怖かった……」
テントを駆け抜けて、いつの間にか敷地の境界まで一気に走っていた。
胸に抱えた銃を思い出して慌てて手を放し、草の上に鈍い音が響く。
一昨日のようにフェンスにもたれて、桜見物の人の山をぼおっと眺めた。
先程あんなことが遭っただなんて、嘘のように思えてしまう麗らかな情景が広がっていた。
しばらくして少女は一つ小さく息を吐いた。
あたかも「落ち着きを取り戻さねば」と、自分に言い聞かせるように。
それからテントに戻ろうと、銃を拾うため腰を屈める。
「お嬢さん、すみませんが化粧室はどちらになりますか?」
「え? あ、はい、それなら……」
突然頭の上から中年男性の声が聞こえてきて、少女は少し先の黒い革靴に目を留めた。
説明しようと背を伸ばしたその時──
「うっ……」
首の後ろに衝撃が走り、目の前に星のような小さな光がチラチラと舞い散った。
──何? これ……──
「すまないね……少しだけお付き合いいただきますよ、『明日葉』」
頭上の声は次第に遠のいてゆく。
気を失う寸前彼女が感じたのは、草の青い匂いだった──。
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