眠りにつくまで
「聖さんお願いしまーす」
「うん」
洗面所で湯を出し丁寧に手洗いをする。そして
「聖斗、バスタイムだ」
俺が聖斗の沐浴担当だ。母さんたちも光里もやったが、手が大きい順にうまいのかもしれないというのが皆の感想だ。だから俺が一番うまくて、次にうちの母さんという結果だ。
「気持ちいいねー聖斗」
光里はベビーバスの隣で声を掛けながらタオルと、肌着、オムツを広げる。
「脱力して浮いてる気がするぞ」
「顔もふわぁーんだね」
俺と光里が言うと
「聖がそうだったわよ。忍は顔と頭を洗う時に泣く子だったけど」
母さんが聖斗を覗いて言う。
「パパ似だ」
「顔は光里似」
「そう?聖さんに似てると思うけど…」
「目元が光里じゃないか?ん、おしまーい。また明日だ」
「ふふっ…パパありがとうだね。はい、聖斗いらっしゃーい」
柔らかいタオルで聖斗を包んだ光里が母の表情で微笑みオムツをしてやるのを見ながらベビーバスを片付ける。毎日これをやりながら、俺が昼間に居て良かったと思う。
「暑い」
半袖のTシャツ1枚で沐浴はするが暑い。グラスで水を飲み
「8回の授乳は大変だけど、風呂が好きなのは助かるな。風呂で泣かれたらこんなゆっくり水も飲めない」
「そうよ、あやすだけでこっちが汗だくよ」
「忍に文句言っといてやる」
こんな風に母さんとゆっくり話をするのも久しぶりかもしれない。