「…聖さん…失礼な言い方になると思うのですが…」

硬い表情で俺の胸元を見るかのような視線で光里が言う。

「何でもどうぞ?」
「…すみません…とても良くしていただいてるのに…こんなこと」
「いいよ、何?」
「…夜、電話をもらって眠れるのは事実です」
「うん」
「でも…いつまでもそんなことお願いしていられないと思うんです。引っ越しのことも…何もかも聖さんに頼るのは違うんじゃないかって思ってます」
「失礼なことではないよ。光里の気持ちを言っただけで何も問題ない」

硬い表情を緩めてやろうとこちらが頬を緩めたところで注文したものが運ばれてきた。

「まず、いただいていい?」
「はい」
「話は中断。光里も食べて‘絶品’らしいから」
「…いただきます」

少し落ちたトーンだが、いつものように手を合わせた光里はゆっくりとフォークを持ち、ガトーショコラを観察するようなまなざしでフォークを横向けて入れた。