眠りにつくまで





フォークを口へ運ぶ途中の光里と目が合い

「楽しみだね」

そう言うと、彼女は動きを止めて小さく頷きパクっとガトーショコラを口へ入れた。そこでまた動きを止めた光里に

「うん?」

自分もナポリタンを頬張ったので喉で音を鳴らすように聞くと、彼女はモグモグし始める。

「絶品…納得です」
「うぉ、良かったね」
「口へ入れただけで幸せなカカオの香りがして…そのあと濃厚な甘すぎない…ほろほろっと幸せな味と食感が口の中でほどける感じ…美味しいです」

表情が綻んだ光里に

「なかなかいいレポートです」

と言ってやる。

「ふふっ…天ぷらの時の…ふふっ、最近美味しいもの続きで贅沢だ…」

光里は珈琲を一口飲んでから

「ナポリタンも作れるのに頭からすっかり抜け落ちていたメニューです。出来るけどやってないことが多すぎる…私」

俺のナポリタンを眺めて独り言のように呟いた。
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