Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
【カオルside】


俺は美月と別れると、夜からのバイトのために少しだけ仮眠をとる。

起きると、学校から帰ってきた奈都が夜ご飯の準備をしていた。


「お兄、頼んでた卵買ってきてなかったでしょ!」

「あ、悪い、忘れてた」

「もう!約束一つ守れないんだから!」


奈都は軽くパンチをして、また包丁を動かす。

そんな後ろ姿を見ながら綺月のことを考える。

美月に綺月と話す場を作るって言ったけど、どうするのかまでは考えてないんだよな……。

学校でまた出待ちするか?

あの時も強引に車に乗せたしなぁ、今度こそ警察呼ばれるかも。


「どうしようかな……」

「なにが?」

「んー?綺月のことでちょっとな……」


その時、家のインターホンが鳴る。


「お兄、出てー!」

「はいはい」


俺はゆっくりと家の扉を開ける。


「……は?」


目の前に立っている人を見て、思わず素っ頓狂な声が漏れる。


「誰だったの?え!綺月ちゃん!?」


そこには、ほんの数秒前、どうやったら会えるだろうかと考えている人物が目の前にいた。

綺月は制服のスカートを強く握りしめながら言った。


「家、暫く泊めて」

「……は?」


綺月は荷物を何一つ持たず、家出してきた。


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