暗い暗い海の底
3.
◇◆◇◆

 キラキラ男と再会したのは、それから半年後のことだった。しとしとと雨が降る中、私は買い物からの帰り道だった。いつも足を運ぶスーパーと自宅の間にペット霊園がある。この時間、いつもは人などいないのに、なぜか今日にかぎって人がいた。雨に打たれ、一つの墓標の前でじっと手を合わせている。

 頬を伝わる滴は雨だと思うのだが、それが涙のようにも感じられた。

 ――綺麗。

 男性であってもそう思ってしまった。そして私は気付いたのだ。その彼があのときのキラキラ男であったことに。
 彼にあたる雨を避けるかのように傘を差し出した。

 恐らく彼も気付いたのだろう。忍び寄ってきた影と、当たらなくなった雨に。

「風邪、ひきますよ」
 私が声をかければ、彼も驚いたように見上げてきた。

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