暗い暗い海の底
 車のエンジン音が聞こえ、彼がこの家から離れて行ったことを確認した私は、やっと立ち上がった。

 彼と出会った頃の私に言ってやりたい。彼の部下たちにも言ってやりたい。
 見た目に騙されるな、と。

 割れた食器の欠片を手にすれば、その先端が指に刺さり、血が流れた。

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