クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜

◇God's mischief

『しっかしなんも出てこなかったなー』



緑あふれる7月の南町緑地公園は、多くの家族連れでにぎわっている。

南町図書館でひたすら調べ物をしていた私たち寧々アレルギー対策委員会は、背の高い木々に囲まれた日陰のテラスでテイクアウトしたハンバーガーにかぶりついてる。

『俺、もう5年分くらい本読んだ気がする。』

木のテーブルの上に置いたスマホから、もう食べ終えたらしいキヤ君の声がする。

「キヤ、カベ君の10分の1も読んでないんじゃないの?」

私の隣で姫ちゃんが呆れた声を出した。

「とにかく前例がないということだけがわかったって感じね」

反対隣の花乃ちゃんが言った。

『…あ!テントウ虫。かーわいい~』

キヤ君がニコニコで手に載せたテントウ虫を画面に寄せて、私たちに見せてくれる。

可愛いのはキヤ君だよ、と思いながらハンバーガーをモグモグする。

ちなみにリモート先の男子メンバーは、大きなけやきの木を挟んだ先にレジャーシートを拡げてる。

『ひとまず実験の結果分かったことまとめてみたから見てみて。今、共用フォルダに載せる。』

片手にハンバーガー、片手にタブレットを持ったカベ君がそう言って、みんなのスマホが振動した。
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