クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜

◇近海逢和の決意


「寧々。ちょっと待って。」



お昼休みの終わりを告げる予鈴が遠くに聞こえる体育館裏。

6メートル後ろの逢和君が私を呼び止めた。


それは『God's mischiefには次巻が存在するのでは』と考えた私たち、寧々アレルギー対策委員会が、
夏休みに別の図書館に行ってみようと計画を立てながら教室に足を向けた時のことだった。


「…先に行ってる」


花乃ちゃんと姫ちゃんが手を振って、私はコクコクと頷く。

そして皆がいなくなった体育館裏で、うるさい蝉とまっすぐこっちを見る逢和君に

体感温度が上がってじんわりと手に汗が滲んだ。


久しぶりにちゃんと見る逢和君はいつも通りの可愛い笑顔で

まるで最近の私のよそよそしい態度なんてなかったみたいで

芯の強さが滲むその佇まいに、やっぱり私の胸はきゅう、と苦しくなった。
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