「アメリカの大学に行く」
「いつ?」
「卒業後」

私の狭いアパートの小さなベッドで、まだ互いに汗ばむ肌を重ねている時に言う?

「まだ卒業まで1年近くあるよ?留学じゃないの?」
「違う」
「国際弁護士?」
「いや…コンサルティングをしたい」
「法科も役立つだろうけど…」
「経済の最先端で学ぶ」
「…決定?」
「そうだな」
「…玲央…寒い」
「ん、もっかい?」
「そうじゃなくって…いっぱいぎゅうって…ぎゅうぎゅうってしてよ」
「…ごめん、乃愛」

玲央が21歳、私が19歳の5月。玲央は私がヨーロッパに魅せられていることを知っている。すでに長期休暇ごとに私はヨーロッパを旅していた。彼は私を置いてアメリカに行くんだ…それでも私はアメリカに興味はない。彼はそれもわかっている。だから最小限の言葉で決定事項だけを伝えたんだ。5月に伝えてくれたことが玲央の精一杯の誠意だと、彼の腕の中で感じていた。