俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
彼女のプライベート
 社長室に戻った駿を見て、暁は訝しく思った。

「お前、芹となにかあったのか?珍しくニヤけてる。芹は俺のだ。渡さないぞ」

 声からは苛立ちが伝わる。

「何もないです。成宮さんに特別な感情はないのでご安心を。ただ……」

「ただ?」

「人としては興味があります」

「はあ?」眉間に皺を寄せ駿を睨む。

「彼女が、今までに出会ったことのない種類の女性だと言うことは間違いないです」

「どういう事だ?」

「暁の周りに寄って来たり、お近づきになりたいと思っている女性とは違うってことだ。暁の前では隠していても、俺に媚びてくるってこともあっただろう?」

 プライベートな話に、だんだん本来の親友のしゃべり方になる。

「惚れるなよ」

「それはないけど、今後が楽しみだ。お前がえらく執着してるから」

「ああ。エントランスで目が合った瞬間、こいつだって思った。芹を逃したら一生独身だな。初めて感じた気持ちだが、最初で最後だと確信してる」

「暁がそこまで思うって凄いな」

「ああ、気恥ずかしいが運命の相手だな」

「……。初めて仕事以外でお前をカッコイイと思ったよ」

「失礼だな」

 芹の中では、一瞬で忘れ去った社長の存在だが、まさかこんなに執着されているとは考えもせず、終わったと思っていた。

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