俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「笑うところありました?」

 私はそのまま端的に伝えただけだ。

「アハハハハハッ、今まで暁にそんな言い方をする女性に会ったことがなくて……。もう、新鮮で面白すぎました」

「あ〜皆さんの憧れの社長様ですもんね」

「あなたは、憧れはないですか?」

「ないです」

「迷いないですね」

「イケメンで御曹司で社長だけでも胡散臭いのに、性格も良くなんてありえます?元に、よく言えばクールかもしれませんが、見るからに身勝手な俺様じゃないですか」

「……」

 黙った稗田さんを見て、言い過ぎたと思ったが、言ってしまったことは取り消せない。クビにはならないと言っていたので、言いたいことを言えてスッキリした。

 会話をしている間に、あっという間にエレベーターはエントランスに到着した。

「稗田さん、ここまで送っていただきありがとうございました」

 お礼を伝えてさっさと立ち去る。

 それにしても今日は厄日だ。エントランスで旬くんに気づかなければ……。

 社長室に連れて行かれている間に、中途半端に放っておいた旬くんは拗ねてしまった……。

 旬くん、帰ったらいっぱいラブラブしようねと、私の中では一瞬で社長の姿は消しさられた。

< 37 / 253 >

この作品をシェア

pagetop