ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 この国に来てからは、死の影に怯える必要もなくなった。
 両親が殺しに来るのではないかとびくびくしたこともあったけれど、今のところその気配はない。
 セアルド王国の結界がどうなっているのかは知らないけれど、滅んだとは聞いていないからまだ機能しているのだろう。

(ジェルトルーデが、ちゃんと祈りを捧げてくれたらいいんだけど)

 聖女の結界は、毎朝の祈りによって強化される。ジェルトルーデがきちんと祈りを捧げていれば、シアが気にしなければならないような事態はまず発生しないはずなのだが。

(あの子が相手じゃ、望み薄なのよね……)

 カウンターに頬杖をついたまま、ため息ひとつ。
 いつからだろう、ジェルトルーデが贅沢を好むようになったのは。
 瘴気が発生するのは、人里離れた山の中や荒れ地も多い。そこまで、彼女が行けるだろうか。

「ただいま、悪かったね。店番させちゃってさ」
「いいですよ、ベラさんにはお世話になっているもの」

 ベラの店でカウンターの内側に座っていると、いろいろな人が訪れる。彼らとの会話も、最近では楽しみになってきた。

< 116 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop