干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

黒い思惑

「新プロジェクトの方は、どうなってるんですか? 船が沈むどころか、着実に実績を積んでいってるじゃないですか」

 専務室のソファに腰をかけながら、朔人がいら立った声を出す。

「さ、朔人くん。落ち着いて。こっちも面倒な案件が出て来て、困っているんだよ……」

 専務は媚びるような目で朔人を見ながら、取り繕うように説明した。


「面倒な案件って?」

「ま、まぁそれは……。とりあえず相馬くんに、逐一状況を報告するようには伝えてるから」

 専務の言葉に朔人はチッと舌打ちを打つ。

「その相馬部長。本当に信用できるんですか?! 最近じゃあ、副社長室に入りびたりだって言うじゃないですか!」

 朔人はさらに荒々しい声を上げた。


「そ、それは……」

「これから、お父さんの所に行ってきます」

 朔人はガタンと音を立てながら立ち上がり、専務の顔も見ずに部屋を後にする。


 足音はだんだんと小さくなっていった。

「クソガキが……」

 専務はデスクの上にあった書類を掴むと、閉じられた扉に向かって投げつけた。
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