干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

憧れの展示会

「展示会の出展を私たちが?」

 美琴は配られた資料を見ながら、驚いた声を出した。


「はい。先ほどの会議で正式に決まりました。例年ではメンテナンス部が出展を担当していましたが、人員不足もあり今回は新規事業で担当します」

「じゃ、じゃあ装飾の営業もできるってことですよね……?」

「タッキーご名答ー!」

 東の明るい声に場の空気が和んだ。


 美琴はチラッと副社長と東の顔を見る。

 二人とも、会議に行く前とは打って変わって穏やかな顔つきだ。


 ――私が心配してもしょうがないもんね。余計な事を考えず集中しよう……。


 美琴は一人拳に、ぐっと気合を入れて頷いた。


 この展示会は、年に一度開催される国内最大規模の、観葉植物やその関連グッズの営業イベントだ。

 企業へのアピールが主な目的だが、一般客の入場も許可されており、その場で販売も行われる。


 ――前に一度だけ、SNSの人もこの展示会のこと、アップしたことがあるんだよね。


 美琴はふと当時の事を思い出す。
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