俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
エレベーターを降りて、ふかふかの絨毯が敷かれた廊下を歩く。
ドキドキしながら、翔さんに手を引かれるまま着いて行く。

カードをかざして玄関ドアが開く。
白一色の玄関から、真っ直ぐ伸びた広い廊下を歩くとリビングに入る。

「うわぁ……凄い…。」

言葉が出ないとはこう言う事だと思う。リビングに入って真っ正面にガラス張りの広い窓。そこからスカイツリーを独り占めしたかの様な夜景が浮かびあがる。

窓に駆け寄りしばらく見入ってしまう。

「綺麗…。」

「感動した?」
そっと近付きそう聞いて来る。

「凄いです。感動して言葉も出ないくらい…この景色を翔さんは毎日見てるんですね。なんて贅沢な暮らしなんですか。この景色を見飽きるなんて信じられないです。」

「俺も、今日は感動してる。果穂がこの景色の中にいる事に。」
そう言って、背中からそっと抱きしめてくる。心臓がドキンと跳ねてつい固まってしまう。

「部屋が暖まるまでこうしていよう。」
耳元で呟かれるから、どうしていいか分からなくなる。

「仕事終わりで疲れてるのに、来てくれてありがとう。慌ただしかっただろ?」
首を横に降り、ぎゅっとされてる柊生さんの腕にそっと触れてみる。

「向こうからこっちは見えるんでしょうか?」
話す内容に困りそんな事を言ってしまう。

「この前一緒に昇った時は見えなかったな。
望遠鏡とかで覗かれたら見えるかもしれないけど。」
こんな私のどうでも良い疑問でも、ちゃんと拾って答えてくれる。

「ふふふっ、誰かに覗かれたら恥ずかしいですね。」

「そうか?俺は見せびらかしたいけど。」

「えっ⁉︎」
思わぬ反応でびっくりして振り返る。

「大丈夫。外から見えない様なミラーガラスになってるから。」
優しく微笑まれて、頬にチュッとキスされて固まる。

「何か温かいものでも飲むか?」
そう言って、ソファに誘導してくれる。

ソファも広くてふかふかで一度座ったらなかなか立ち上がれないくらい。

「果穂はコーヒーより紅茶派だよな。ミルクティーでいいか?」

「ありがとうございます、私やりますよ。」
慌てて、キッチンに駆け寄る。
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