国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
1.95パーセントの相性率
「俺たち、そろそろ結婚しないか?」
 事が済み、彼の逞しい胸に抱かれながら、その言葉を耳にした。フローラは驚き、彼の顔を見上げる。触れている肌と肌からは、彼の体温が伝わってくる。と、同時に彼の心音も。
 いつもより、速くて大きいなと思っていたら、そういうことだったのか。
「その……。俺たちも付き合って一年が過ぎたじゃないか。俺もさ、昇進を控えているから。結婚するなら、このタイミングかな、と思ってさ」
 恥ずかしいのか、言い訳のように彼は言う。そして彼女を抱いている腕に力を入れ、彼女をより自分の胸元へと引き寄せる。
 さらりとフローラの銀白色の髪が肩から流れた。
「え、と。あ、あの……」
 フローラはすぐに返事ができなかった。それは、以前彼から言われた一言が原因。
 ――結婚をするなら、仕事を辞めて欲しい。
「あの。一応、確認だけど。やっぱり、結婚したら、仕事は……」
 青色の瞳を大きく広げて、フローラは彼の顔を見上げる。
「あ、うん。辞めて欲しい。あんな危険なところに、君を置いておけないから」
 恐らく彼はフローラの身を案じている。それはなんとなく伝わってくる。
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