竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

19 リコと竜

 
 うっすらと目を開けると、辺りは薄暗く、少し湿った空気に包まれていた。いったいここは、どこだろう? それにさっきから誰かの話し声が聞こえてくる。


『おい! いったいなんで暴れたんだ? 竜王様の逆鱗(げきりん)にふれるぞ!』
『俺もわかんないよ! 気づいたらこの女の子の甘い匂いに引き寄せられちゃって……』
『それで、この連れて来た女の子はどうするんだ?』
『う〜ん……良い匂いがするし可愛いから、俺のお嫁さんにしようと思う!』
『はあ?』


 竜王様? お嫁さん? 最近の私にとってはちょっと不穏な言葉の組み合わせに、また目をつむってしまう。

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