跡取りドクターの長い恋煩い
《おまけ》隣同士の部屋
 「公開プロポーズ!?」

「千聖!  声大きいよ……ここ三階のガーデンテラスだよ?」

 連休明け、私たちは女子トークがしたくてまたガーデンテラスでランチをしている。

 「びっくりなんですけど……。先週末に一体何があったの?」

 そこで私は先週の土曜日にあったことを報告した。もちろん瑞穂のことと、付き合うことになったことのみで。
 『いたしちゃいました!』
 なんて、とてもじゃないが言えない。

 「なんだ……弟さんの婚約者だったんだ。
 良かったね!  ……で、そこが解決したから付き合うことにったのね」

「うん……まあそんな感じかな……」

 瑞穂のことはもちろん一番大きな問題だったけれど、私自身が宗司くんの一途さにやられた、というのも大きな理由だ。恥ずかしいから言わないけど。

 「でもそこから一気にプロポーズでしょう? やっぱり出来る男は違うわね! 仕事が早いわ!」

 「う、うん……あ、それと、私が地域枠でここに来たのって、やっぱりお兄ちゃんが仕組んだことだった。正確にはうちの家族みんなと、廣澤家のご両親も」
< 170 / 179 >

この作品をシェア

pagetop