跡取りドクターの長い恋煩い
 「やっぱり! どう考えてもここへお嫁に来たのよね? それはすぐにわかったわよ。
 でもはっきり聞いたらちょっとスッキリしたー。宗司先生って、本当に笑美里のことずっと好きだったのね」

 ええ。ストーカーするくらいに……って、それも言えないけど。

 「いいなー。お付き合いすることになって、今の部屋の並びって最高じゃない?」

 「部屋?」

 「二人、隣同士じゃない! 私達階が離れているからさ、気軽に部屋着のまま行き来出来ないのよ。さすがに誰に会うかわからないからね。笑美里達が羨ましいよ」

 そっか。偶然とはいえ、私と宗司くんは隣同士。今も部屋着のまま気軽に部屋を行き来している。

 「……千聖と福岡君はファミリータイプのお部屋を希望しなかったの?」

 「それが無理なのよ。ここの規約でね、籍を入れていないと上の階の部屋には入居できないことになっているの」
 
 「そうなんだ」

 なるほど。規約じゃ仕方ない。
それに可能だったとしても入職したてじゃ「隣の部屋にしてください!」なんてことも言いにくかっただろのだろう。
 じゃあ私たちは本当にラッキーなんだわ。

 
 ◇◇

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