君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~

2人の紡いだ未来

「アーニャ、待ってよ~」
「ノア、悔しかったらここまで来てごらんなさい!」

マグノリア王国の第一王女アナベルと王太子ノアが
今日も元気に中庭を走り回っている。
2人が遊んでいる中庭にある藤棚は、今日も美しい藤が満開だ。
そしてこの藤棚に設けられたベンチには、仲良く寄り添う男女の彫像が鎮座している。
ユリウス国王とジゼル王妃である。

ユリウス国王はその長い治世において、
ウィステリアやハイドランジアとの友好関係を深め、
両国の先進的な技術を積極的に取り入れた。
現代では、「マグノリア近代化の父」として広く国民に敬愛されている。

ユリウス国王の妻であるジゼル王妃は慈善活動に情熱を傾けた。
自給率を向上させるために養分の少ない土地でも丈夫に育つ小麦や野菜の品種を開発したり、
女性の地位向上を目的として、女性の就学・就職を推し進めた。
ユリウス国王とも大変仲睦まじく、
国王のサポートの傍ら、2男3女の5人の子どもたちに恵まれ、幸せな家庭を築いた。
「良妻賢母」の模範として、ジゼルは今でもマグノリアの女の子たちの憧れの存在だ。

ユリウスとジゼルが愛した藤棚は、
子、孫、ひ孫と代々大切に受け継がれ、
2人はその藤棚の下で、今日も子孫の幸せな姿を静かに見守っているのである。
< 247 / 247 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:33

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~

総文字数/28,750

ファンタジー58ページ

表紙を見る
幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~

総文字数/51,274

ファンタジー97ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop