【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第25話】

さて、アタシと離婚したあいつは、別の病院に勤務していた看護婦《おんな》と再入籍して、新しい暮らしを送っていた。

義父母は、新しいお嫁さんが作る手料理のほうがおいしいと言うて喜んでいた。

義父母は、アタシをボロクソに言うたあと今のお嫁さんをほめちぎっていた。

だからアタシは、あいつの家に対するうらみをさらに高めた。

2016年8月20日の午後であった。

ところ変わって、義弟《おとうと》が勤務している志度の工場にて…

この日は、親会社の社長さんから従業員さんたちにごほうびとして、金一封が与えられた。

従業員さんたちは、一列に並んで金一封を受けとる順番を待っていた。

このとき、義弟《おとうと》は自分の金一封がないと言うて激怒したあと、前から6人目にいた従業員さんをボコボコに殴りつけた。

義弟《おとうと》は、前から6人目にいた従業員さんが自分が受け取る分をドロボーしたと言うてた。

従業員さんをボコボコに殴った義弟《おとうと》は、その場から立ち去った。

ボコボコに殴られた従業員さんは、ビービービービービービービービービービー泣いていた。

このとき、入江さんが休憩室から出た義弟《おとうと》を止めに行った。

入江さんは、休憩室から出ていった義弟《おとうと》を止めたあとなにがあったのかを聞いた。

しかし、そこでふたりがもめてしまった。

「ひろかずさん、どうしたのかな?」
「前から6人目の従業員がふたつも取ったから殴った!!」
「そんなことはないよ…従業員さんたちに平等に行き渡るようになっているから…」
「きれいごとばかり言うなクソバカ役員!!」
「ひろかずさん、金一封にはお給料3ヶ月分が入っているのだよ。」
「いらねーものはいらねーんだよ!!おい入江《むしケラ》!!オレが他に行くところをなくした原因を作っておいてひとこともわびないのかよ!!15の時を返せ!!返さないとほんとうにぶっ殺すぞ!!」

義弟《おとうと》の言葉を聞いた入江さんは、あきれた声で言うた。

「ひろかずさん…ひろかずさんはタダノに対して不満があると言いたいのね…ああ、あきれたわ……ひろかずさんに長く勤めてほしいと思っていろいろと仕事を教えてたのに…恩をアダで返すんだね…」

義弟《おとうと》は、するどい目つきで入江さんをにらみつけたあと、その場から立ち去った。

入江さんは、義弟《おとうと》に代わって金一封を受けとったあと、円座町《えんざ》の家に届けに行った。

入江さんから金一封を受け取った義父母は、家の預金口座に貯金して、義弟《おとうと》が必要な時に使えばいいと言うことで問題は解決した。

しかし、その時の様子をあいつの嫁が立ち聞きしていた。

あいつの嫁は『ばれなきゃいいか…』と悪い気持ちが出た。

そして、家族がいない時に金一封を盗んだ。
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