転生公爵令嬢のイチオシ!

7.レイside

ダンテ家の別邸に到着し、メリアーナがいる部屋を聞き出し急いで向かった。
制止しようとする屋敷の使用人達を睨みつけ黙らせる。
扉を乱暴に開けるとジャガーが壁際に逃げているであろうメリアーナに手を伸ばそうとしていた。
カッと頭に血がのぼる。

「メリアーナ!!」

ジャガーを掴んで引っ張り思い切り投げ落とし、すぐに振り向いてメリアーナに駆け寄り抱きしめた。

目を閉じていて起きる気配がない。
気を失っている?それとも眠っているのか?
涙に濡れた顔を撫でる。

「メリアーナ!遅くなってごめん!」

メリアーナの温かい体温を感じることにホッとした。
しかし顔色が悪すぎる。
何かを飲まされたのか!?

ソファーに寝かせ、私の上着を彼女の体に掛けた。
ぐったりとしているメリアーナ。

もしやこのまま…。
昔の記憶が甦り体が硬直する。
また?
君に会えなくなってしまうのか…?
体が震え、血の気が引く。

「芽…衣ちゃん……」

両手を握り、名前を呼んでも目を開かない。
抱きしめて名前を呼んでも!!

「芽衣ちゃん!!」

床に伸びているジャガーの襟首を引っ張り上げて壁に抑えつける!

ダンッ!!

「起きろ!何をした!?言え!!」

「ぐぅ!だ、誰がお前な…んかに……」

「言え!!」

更に締め上げ、睨みつけた!

「ぐぁ!!す、睡眠薬を少し…」

「何!?」

「あ、あと数時間で、お、起きる!それ以以外は、メ、メリアーナが抵抗して、何もしていな、い…」

それを聞いたあと手の力が抜け、気を失ったジャガーがドサリと倒れる。

「芽衣ちゃん…よかった……」

頬に手を添えて涙を拭い、彼女を見つめる。

「頑張ったんだね…」

彼女のおでこにそっとキスをした。

そして、愛しい人を強く抱きしめて存在を確かめる。
しばらくそのまま動けなかった。


部屋の外が騒がしくなった。
アレックスの声も聞こえる。
こちらに到着したようだ。

そして、部屋の入口からアレックスにためらいがちに声を掛けられた。

「……レイ」

「…ああ、彼女は無事だが睡眠薬を飲まされている。医師に診察してもらおう」

振り向きアレックスとマクラナ嬢に返事をする。

「メリアーナッ!心配したわ!」

マクラナ嬢がソファーで眠っている彼女に駆け寄る。

騎士団も少人数でこちらに向かっており、クリスク公爵家に関わることなので内密に動いてくれているそうだ。
ジャガーを拘束し連れて行くことは騎士団がする。

彼女をクリスク公爵家へと連れて帰るために腕に抱く。
このままストライブ家へ連れて行きたいが、さすがに今の私の立場では無理があった。

「これも持って行け!レイ。アイツがメイドに渡していた物だ」

「ありがとう。医師に確認してもらうよ」

アレックスに睡眠薬が入っている瓶を手渡される。

「メリアーナのこと、よろしくお願いいたします。私はまだこちらで用事がありますので」

メリアーナを心配そうに見たあと、マクラナ嬢がジャガーを睨みつけていた。

メリアーナを横抱きにして、屋敷の外へと出る。

「レイ様!ご無事で!…お嬢様も」

ストライブ家の馬車も到着していた。

「ああ、暗い夜道で申し訳ないがよろしく頼むよ」

「かしこまりました」

馬車の中でも彼女をきつく抱きしめたまま離せなかった。
メリアーナが私の腕の中にいる。
その現実に安心する。
胸が締めつけられるほどのこの想い。

もう絶対に離れない……。


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