過去を知りたがる女【短編】

過去を知りたがる女

「ねぇ。あなたのこと教えてよ」

男の胸に頭をのせながら、女は尋ねた。

「たとえば？」

「どんな人と付き合ってたとか」

「なんだよ、それ」

「ねぇ。初めてのキスはどんなだった？初めてのエッチは？」

女は少しだけ身を乗り出す。

「なんで、そんなの聞きたがるんだよ」

「いいじゃない。ちなみに私は、18の時。バイトの店長と仕事場でヤっちゃたの。超興奮したけど、全然気持ちよくなかった。だって、その店長ってさ、」

「やめろよ。」

男は、そう言うと寝返りをうった。



―――この男もダメ。