Melty Kiss 恋に溺れて
私は腫れぼったい瞼に、手を押し当てた。

昨日一晩、考えて決めたのだ。
そう。
泣いて、泣いて。
涙が枯れるほど泣いて、決意した。

もう、こんな中途半端な関係にはピリオドを打つしかないの。

来月末。
目の前で、大雅の妻が決まるのを見届ける前に。

私は、ここを出て行くって決めたんだからっ。

素敵な彼氏を作って、見せびらかしてあげる。
銀組総長になったって、全ての女がアナタに傅くわけじゃないってこの身を持って教えてあげるわよ!!

私は、三面鏡の前で、ぐぐっと拳を握ってみた。


そう。
大雅に憧れる、大勢の女の一人でなんて居たくない。

たった一人の特別になれないなら、もう。
その「大勢の女」といううざったい枠から飛び出す以外に、助かる道は無いと思ったのだ。

嫌だ。
ああやって、貢物のように送られる女と一緒にされるのは真っ平ゴメンだもん。

どうせなら。
最後まで、大雅の妹で居続けてあげる。

他に、私が彼の「特別」になる方法なんて、一つたりとも思いつかなかったから。
私は、この、地獄で見つけた一本の蜘蛛の糸のような儚い可能性に賭けてみることに決めたのだ。

その糸が切れた途端、地獄に落ちると分かっていても、尚。
< 33 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop