Melty Kiss 恋に溺れて
いつもの優しい大雅じゃない。
どうしていいかわからなくて、私は、感情の見えないその黒い瞳を探るようにじっと見た。

「わざと、ですよね?」

彼は疲れた声で私に問う。

「何が?」

「わざと、車を乗り入れて生徒指導室に行くように手配しましたよね?」

……え?

私は目を丸くする。
どうして、そこまで分かっているの……?

ぞくり、とするほど冷たい瞳で、至近距離で私を見下ろす大雅の瞳は、支配者のものだった。

「どこまで私に心配をかけたら気が済むのですか?
それとも、私にばれないとでも思っていましたか?」

優しい口調とは裏腹に、嘘を許さない強い瞳。

「ばれないと、思ってました」

まるで誘導尋問だ。
私の唇は勝手に動く。

「そう」

ぞくりとする。
蛇に睨まれた蛙の気持ちが、今なら痛いほど分かる。

だって。
大雅は私には決して見せたことの無い、<次期総長>の視線で私を睨んだのだから。
昨日の麻薬の売人だって逃げ出すような、鋭い視線。

一般人の私が、耐えれるわけもない。
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