極上な恋をセンパイと。

こうして、あたしの初めての海外出張は終わりを迎えたわけだけど……。



「……」



な、なんでこんな事に……。

高度1万メートル。
薄暗い機内は、少しだけヒンヤリとしてる。

でも、あたしの体はさっきから熱くて……。
その原因は、この人……。



隣で気持ちよさそうに寝息を立ててる、鬼の久遠センパイ。
そのあどけない寝顔の彼は、あろうことかあたしの肩に思いっきりもたれかかっていた。


シート倒れてるから、余計に意識すると言うか……。



久遠センパイ……。


優しいんだか、意地悪なんだかよくわからない人だな……。

冷たいんだと思ってた。
だけど、好きなモノの事になると、あんな風に笑うんだ。


知らない久遠センパイの一面を、ちょっとだけ知れた気がして。
なんだかくすぐったい気持ちになった。



もっと、センパイが知りたいかも。





「ん……さみぃ」

「え……え? ちょ、せ、センパイっ?」


きゃー!
きゃあ、きゃあ、きゃーーー!


眉間にシワを寄せたセンパイは、グイグイとその頬をすり寄せてきて。



「………………」



あろうことか。
毛布ごと、あたしを引き寄せた。

もちろん腕から逃れようともがいたけど、それでもセンパイの腕の力は緩まる事はなくて……。



とにかくあたしは、長い長いフライトを、緊張しまくりで過ごす羽目になってしまったんだ。





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