幼なじみ〜first love〜

蒼―side―

俺たちは、ずぶ濡れのまま電車に乗るわけにも行かず、とりあえず遊園地の近くにあったラブホテルに入った。




「………すごい…大きなベッド…」




絢音が、興味深々にキョロキョロ部屋を見回している。




「早く風呂入ろうぜ?びしょ濡れなんだから夏だって風邪ひくぞ?」




俺は、Tシャツを床に脱ぎ捨てた。




「なんか…ドキドキしちゃって…。てかさ、蒼すごくラブホの仕組みに慣れてない?」




………やべぇ




「…はっ?慣れてねぇよ…」




俺は平静を装い、風呂場へと逃げた。




キュキュッ…――

浴槽にお湯を溜めようと、蛇口をひねった。




「なんか慣れてるもん……」




後ろを振り向くと、絢音が睨みつけて頬を膨らませている。




「な、何がだよ」




「ラブホ…来たことあるの?」




あるっちゃ…あるけど……




「………」




言えないよな……あれは仕方がなかったというか。




「誰と…?まさか栞と!?信じらんないっ…!」




絢音が、突然怒りだし、俺の背中を思い切り叩き続けた。




「仕方ねぇだろ?いろいろあったんだから…栞と何もしてねぇよ」




「…やっぱり来たことあるんだ…変態!バカ!」




「俺を信じねぇのか?」




俺は、絢音の膨れた頬を両手でつぶした。
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