粉雪
「…どれがどれでも良いじゃん…。」


『うわっ!ありえない反応!!
マジ萎えるし!!』


あたしの言葉に、隼人は子供みたいに口を尖らせた。



「…もぉ、勝手に決めてよ。
あたし、炒め物が気になるんだけど。」


『…じゃあ、俺が勝手に決めても良いの?』


「どうぞ、ご自由に。」


気になるのは、プレゼントより炒め物だった。


どーせまた、増えるだけのブランド物か何かだろうし。



『じゃあ、まずは1年記念な?』


そう言って渡されたのは、一番大きな箱。


仕方なく箱を開けると、瞬間、あたしの目が輝く。



「…ミキサーじゃん!!」


『すげぇ迷ったけど、ちーちゃんにはこれからも美味しいご飯作って欲しかったから♪』


ちょっと前に欲しがっていたミキサーのことを、

隼人はずっと覚えてくれていたらしい。


あたしの反応に満足したのか隼人は、次の箱を手渡してきた。



『じゃあ、次はクリスマスな!』


「…順番違うんじゃない?」


そう言いながら渡されたのは、長細い箱だった。


箱に書かれていたのは、ブランド物の時計のメーカーの刻印。



「フランクミューラーじゃん!!」


箱を開けて、驚いた。


そこには、1本100万はする時計が、ペアで入っていた。


共に白の文字盤のカサブランカ。


『良くない?お揃い♪
ちーちゃんが前、“可愛い”って言ってたから!』


「…ありがと…。」


その言葉に、思わず泣きそうになって。


驚きと嬉しさで、自然と緩む口元が隠せない。




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