准教授 高野先生のこと

あの日から、高野先生とは会っていない。

いつものパターンだと本来、昨日には先生と会えていたはずだったのに。

私が土曜日に先生の研究室を訪れるのは、もうお約束のようになっているから。


しかし、昨日は在学生の父母懇談会と懇親会があるとかでダメだった。


先生に会えない土曜日は、ぽっかりと穴が空いたように淋しくてつまらない。


毎週土曜日、先生と一緒にすごせるのは私にとって至福のときなのだ。


先生は毎週、当然のように土曜に出勤して文献整理などの作業に勤しみ。

私は私でおやつを持ってそこへ出かけては、先生の作業を手伝ったりした。

もちろん勉強だってちゃんと見てはもらってるけど。


夕方いい時間になると、先生は必ず私を晩ごはんに誘ってくれた。

何を食べるかを決めるとき、食べたくないものを先ずは言い合うのがいつものルール。

偶然気分が一緒だったりすると、二人で“奇遇ですなぁ”なんて言って笑いあった。



< 94 / 462 >

この作品をシェア

pagetop