戦国遊戯
「失踪者の子は、うちに帰ってから一歩も外へは出てないらしいのよね。靴もちゃんとあったって。だけど、次の日の朝、部屋から出てこないから、母親が呼びにいったところ、なんと!パソコンの画面で、ワールドヒストリのログイン画面が出たまんまで、誰も部屋にいなかったんだって!」

「・・・家出じゃないの?」

「靴はちゃんと、全部家にあったんだよ?窓は鍵がきちんとかかってたらしいし、争ったりした痕跡はなかったんだって」

「マジ?」

「まじまじ!だって、パパ情報だもん♪」

希美の父親は、警視庁のお偉いさん。時々、父親のPCを勝手に開いて、情報を盗み見ているらしい。


『警察、情報漏えい問題発覚!?』


・・・もしもばれたら、きっとこんな見出しだろーなー


そう思いながらも、感想として出てきた言葉は、"ふーん"といった程度のものだった。

「それだけ!?」

希美がびっくりして聞いてくる。

「だって、失踪って言われてもぴんとこないし。第一、誰よ?その失踪した子」

「え!?知らないの!?」

さらに希美の目が丸く大きく見開かれた。玲子が首をかしげた瞬間、チャイムがなり、教室の扉が開いた。先生が少しだけ、神妙な面持ちで、中に入ってきた。
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