蝶々結び
二人と一緒に祖父母の家に戻ると、宴会の準備がしてあった。


毎年、お祭りの後には近所の人達と飲み明かす。


一応あたしの誕生日パーティーも兼ねているらしいけど、毎年大人達だけが盛り上がっているから、あたしはすぐに部屋に戻る。


だけど…


今年は近所の人達だけじゃなくて上杉先生と創太も一緒だったから、あたしもずっと居間にいた。


「七星ちゃん、ほんまに今年で終わるん?」


「もっと踊ったらええのに!」


「今年の舞は綺麗やったで!」


ただ、近所の人達から口々に同じような事ばかり言われ、ひたすら作り笑いを浮かべ続けるハメになってしまった。


「ごめんなさい……。来年は受験だし、こっちには来ないから……」


それだけ言って、大人達から離れて庭に出た。


虫の鳴き声と風の音に耳を傾けながら、そっと目を閉じた。


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