准教授 高野先生の恋人

お父さんに殴られる覚悟、いくらでも待つという覚悟、試練のような様々な覚悟。

どんな覚悟もあると彼は言うけど、私にはして欲しくない覚悟が一つあった。

「どんなって……まさか別れる覚悟も?」

「そんな覚悟、必要?」

「必要ないです、ぜんぜん。そんなのはしなくても……うんん、絶対にしないで」

「はいはい」

彼はそう言って微笑むと、私の体をよいしょと起こして髪に優しいキスをくれた。

「連休は僕も帰省する予定なんだ。だから、もしよかったらまた一緒に車で帰ろうよ」

「うん」

年末年始の帰省のときは“自宅周辺”止まりだったけど、今度は……。

明日、早速お母さんに電話してお父さん攻略作戦を練ろうと思う私なのだった。



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