旦那様は社長 *②巻*

まるで初めて想いが通じあった時のような、穏やかで甘い生活。


笑いあって。

キスをして。

愛を囁きあって。

抱き合って眠りについて。


そんな幸せだけを感じて過ごした一週間は、あっという間に過ぎていった。


こんな日がずっと永遠に続けばいいのに……


力強くて優しくて、温かい悠河の胸に包まれながら、そう願わずにはいられなかった。


明日はそんな夢から覚める時。


眠れなかった。

悠河も同じだった。


向かい合って重なる2つの視線。


あたしは悠河の首に腕を絡め、悠河はあたしの髪を撫でる。


ただ見つめあい、会話のない夜。


だけど、お互いの肌の温もりを感じているだけでよかったんだ。


重なる視線で伝わるから。

悠河の不安とあたしの不安。


重なる肌で伝わるから。

信じる気持ちは1つだって。



あたしたちは目を逸らすことも肌が離れることもなく……


あっという間に夜が明けた。


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