旦那様は社長 *②巻*
「慎也に遠慮はいらねぇぞ?」
「それは悠河と藤堂さんの間だけのことでしょうが!!」
顔を真っ赤にして怒るあたしを見て、悠河はなぜかとても嬉しそうだった。
「久々に聞いたな。光姫の怒鳴り声」
そっと頬を撫でる優しい指先。
「やっと光姫らしくなった」
申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
今までどれだけ心配をかけていたんだろうって。
「今週、毎日定時で上がれるようにスケジュール調整させたから」
「……いいの?」
「こっちの案件のが大事だろ、今は」
クスッと笑ってキスをしてくれた。
「買い物は帰って一緒に行くか」
「うん!!」
「風呂も一緒に入るか」
「えッ!?……うん」
顔が熱い。
きっと耳まで赤いはず。
「それでベッドで」
「も、もういいから!!いってらっしゃい」
あまりにも恥ずかしすぎて、その先は聞けなかった。
「可愛いヤツ。じゃあ行ってくるな」
もう一度チュッと音をたててキスをして、悠河は出て行った。